大きい過払い金|b 丸ごと侵害を想定した場合 (a) 丸ごと侵害を想定すべき必然性 一審被告はコンパチ業者やリサイクル業者による市場機会の奪取 のみを想定するが,誤りである。

過払い金の方がである。」


ラミネート式ラベルライターを製造・販売 し,その専用のテープカセットを米国で製造・販売するという場合 を全く除外しているのである。
欧州におけるダイモ社も日本におけるマックス社も一審被告のテ ープカセットだけを複製するのではなく,ラミネート技術を使用し て,彼ら独自のデザインの本体とその専用のテープカセットをセッ トにした実施品を製造・販売し,その専用テープカセットも製造・ 販売するという形態で侵害をしてきた。
そもそも発明者にとっての最大の脅威は,発明や発明品が開示さ れた途端に他社がその技術を使った模倣品を製造・販売してくるこ とである。
このような,発明の苦労が報われなくなる理不尽が起こ らないようにするために特許制度があるのである。
一方,侵害者の 側からすれば,わざわざ数年も十数年も待って市場に発明品が十分 - 220 - 行き渡ってから専用の消耗品だけを販売するよりも,発明品が出て 売れ行きが良いのを見たらすぐに真似をして自社独自の本体と消耗 品を製造・販売した方が,商機を逃さず確実に市場を奪取できる。
現にダイモ社とマックス社がそれをやってきた。
(b) 侵害者の負うリスクの違い 一方,本体が市場に行き渡ってから消耗品のみを販売するのは成 功しないリスクが高い。
なぜなら,本体を自分で作っていない場合 は,本体を製造・販売しているメーカーが本体の設計を変更してし まうと,些細なことでも消耗品の互換性がなくなってしまうからで ある。
それゆえ,特許に関わる製品の専用消耗品だけの市場を狙う業者 (いわゆる海賊版メーカー)は,例えば,インクジェットプリンタ ーや使い捨てカメラの事件等でみられるように,メーカーの純正の 消耗品を回収して中身だけを詰め替えて販売するという行為を行っ ているのである。
メーカー純正品を回収する限り,メーカーが本体 の設計を変更してしまうという対抗手段に出てもなお互換性を保つ ことができるからである。
競合他社による,特許技術を使用した模 倣品による参入のケース(まるごと侵害)と海賊版メーカーによる 侵害のケースを比較すると,権利者からすれば,まるごと侵害の方 が後者より侵害の範囲が大きく(本体とテープカセット両方),さ らに初期段階より発生するという点,技術力・資本力のあるメーカ ーが行う危険があり,多大な影響を受けるのである。
一審被告はこ のまるごと侵害のケースを除外して,不当に超過売上げを減じよう としているものである。
また,行為者の負うリスクの点からすれば,海賊版メーカーによ る侵害の場合は,裁判で負ければ悪意による侵害となり,3倍の賠 - 221 - 償義務を負い,脱法行為企業として社会的地位も失うので,まるご と侵害よりはるかにリスクが大きい。
互換性を保つのも大変である。
したがって,特別な場合を除けば,海賊版メーカーによる侵害が起 きる可能性はかなり低い。
また,こういった業者は特許のあるなしに関係なく市場を狙って くる面もあり,いわば脱法的行為に近い。
中には提訴された時点で 会社を倒産させて逃げる業者さえいる。
このような違法業者の存在 を考慮して,超過売上げを算定することは無意味である。
(c) 価格的有意性 さらに,コンパチ業者は価格的優位性がすぐになくなるというリ スクを抱える。


すなわち,真正品とコンパチ品の価格差は,コンパチ業者が利益 を削って安売りしているというにすぎず,真正品メーカの多くは(一 審被告も同様に)通常約●●ほどで金型等の投資は償却するように 製品価格が決められる。
●●で償却を終えてしまえば,真正品メー カーとコンパチ業者とは投資の面では互角であり,コンパチ業者と 同じ値段を付けて販売しさえすれば,もはやコンパチ業者が参入す る余地はなくなる。
このように,コンパチ業者の価格優位性は非常に脆弱なものであ り,この面でもコンパチ業者などほとんど無視できるものである。
(ウ) 輸出専用テープカセットの国内生産品 一審被告は,輸出専用テープカセットの国内生産品には間接侵害が成 立しない旨主張するが,上記(イ)のとおり,海外特許2及び同3の独占 権がテープカセットに及ぶものであるから,一審被告の主張は理由がな い。
(エ) 特許不存在国で製造され,特許不存在国へ輸出された販売高 - 222 - 一審被告は,中国で製造され,特許不存在国へ輸出されたものについ ては,超過売上げの対象から除外されるべきである旨主張する。
しかし,中国で行っているのは最後の組立ての部分のみであって,実 施品本体に使用するサーマル印字ヘッドやその他の専用部品,ラミネー ト式テープカセットの生産に必須となる専用の小巻にした透明テープ, 両面延着テープ,インクリボンなどの主要部品はすべて日本で製造し輸 出している。
本件国内特許の実施品であるラベルライター本体を製造す るための部品と,専用のテープカセットを製造するための部品のほとん どが,一審被告又は同被告が指定する下請け業者によって日本国内で生 産されているのが現状である。
一般的な樹脂成型部品(本体やテープカセットの外側ケース等)は中 国でも安く調達可能であるが,他の部品は中国では供給メーカーがない などの理由で調達できないものが多い。
こういった事情は,競合他社に とっても共通しているので,他社が本件ラミネート特許を侵害する製品 を生産しようと試みる場合,特許回避のためにわざわざ中国で生産を行 うかは疑問である。
仮に行ったとしても,販売できるのは,主要市場で ある欧米日本を除く権利不在国のみに限定されるので,それでは事業と して成り立たない。
一審被告が完成品の組立てのみを中国に移管し始めたのは,他の事業 が縮小になり工場が遊休化するのを避けるために行ったものである。
そ のような事情がない他社にしてみれば,国内でほぼすべての専用部品が 生産されている現状から考えると,当然国内生産が最も適した選択肢で あり,その選択肢が本件国内特許の存在により侵害となるため採り得な いことの排除効果は非常に大きい。
つまり,競合他社には, ? 特許料を払って国内で生産するという選択肢 - 223 - ? 特許を侵害して国内生産するという選択肢 ? 特許を回避するためわざわざ中国で生産するという選択肢 ? 劣った代替技術を使うという選択肢 があり得たところ,?と?を避けて?を選択しているという状況におい て,一審被告が中国生産を始めたからといって,競合他社が?と?を行 うのを抑制してきた効果が消えるわけではないということである。
実際このような競合他者がいないのは,第2発明及び第5発明の効力 が及んでおり,第一に考えられる日本生産という選択肢を与えていない からといえる。
したがって,一審被告が日本でほとんどの専用部品を生産し,輸出し, 中国で製造し,特許のない国に対して輸出した売上げについても本件特 許の独占権は及んでいるので,対価算定から除外することは許されない。
エ米国特許●●号が一審原告らの発明であること (ア) 米国特許●●号と第3考案 一審被告は,互換製品の出現を防いできたのは,一審被告の保有する ラミネート式テープカセットの基本構成を保護する米国特許●●号(● ●)であると主張する。
しかし,米国特許●●号は,記載上は一審原告ら以外の4名が発明者 となっているが,実質的には第3考案と同じであり,真の発明者は第3 考案の考案者である一審原告X 1・X 2ら6名である。
(イ) 第3考案の内容 第3考案に係る実開平1−80457号公報(甲246)には,下記 ?〜?の内容が記載されている。
? テーププリンタに着脱自在に装着されるテープカセットである こと ・「テープ印字装置用テープカセット」(1頁3行〜7行) - 224 - ? テーププリンタには印字ヘッドとプラテンが対向するように配 置され,協働して印字動作を行うこと ・「なお,サーマルヘッド28のドット列の発熱パターンや発 熱タイミング,テープ送り速度および入力キャラクタの判別等 は,図示しないマイクロコンピュータによって制御または実行 されるようになっている。


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侵害
侵害に対して,それがなぜ防がれて一審被告の市場独占(米国 での一審被告シェアが●%以上であることは争いがない)をもたら したかを見る必要があるはずである。 ところが,一審被告は,同被告自身が販売したラベルライター専 用のテープカセットを第三者がそっくり複製し,それを購入者へ販 売する行為が防げたか否かの点に限定して論じている。そして,そ の結論をもって独占の利益がないと主張しているのである。